地域資本とは

現代社会は、「資本主義」の上になりたっているといえます。「資本主義」と対立する概念として「社会主義」があります。この2つの概念の違いを簡単に確認すると、自由な経済活動を保障する仕組みが「資本主義」。国が経済活動を計画し、国民が平均的な賃金で労働する仕組みが「社会主義」といわれます。

旧ソビエトや中国が社会主義国の代表でしたが、ご存知のとおりソ連は崩壊し、中国は自由経済を推奨するなど、資本主義国との区別が難しくなるほど経済活動の自由化が進んでいます。

このように、資本主義は現代社会において優れた社会システムとして、多くの国で資本主義による自由な経済活動により国を発展させています。

「地域資本」という概念は、この資本主義に対抗する概念として位置付けています。なぜ、優れたシステムとして各国で導入されている資本主義に対抗する必要があるのでしょうか。

資本主義は、”経済活動の拡大”が一番重要視されるシステムであるという点です。もちろん、そのおかげで、企業がイノベーションを起こし、人々は豊かな生活が実現されました。しかし、その豊かさは、物やサービスを買うことにより実現するもので、その豊かさを人々が享受するためには、高い給与を得たり、投資を行い資産を増やしたり、より多くの貨幣を獲得することが重要とされてきました。

すなわち、資本主義の価値基準は経済活動の拡大と、貨幣を多く取得することに注力することとなっています。

その結果工場では、大量に物を製造し、我々は消費し、大量の廃棄物を埋め立て、焼却してきました。その結果、公害が発生などにより、川や空気が汚れ、人々の健康が損なわれました。

例えば、北海道のニセコ地区は冬のリゾート地として年々海外から訪れる観光客が増え、外国資本によるホテルの建造や、外国人労働者の増加により、土地の価格も毎年上昇し地域経済はどんどん豊かになっているとみることができます。

しかし一方で、観光客の増加により車の通行が増え、渋滞が発生するなど、地域住民の生活が不便になることや、新たなホテルや建物を次々建設することで、従来豊かであった自然環境が失われています。

他の例でも経済性を優先するために、失われたものは歴史的に多くあります。

資本主義(または、資本主義的思考)を第一に考えてしまうことで、失われるものをどのように考えるか、そのために”地域資本”という概念を考えました。

似たような言葉に”社会関係資本(Social Capital)”があります。これは、人と人との繋がりの量や質を”資本”ととらえる概念です。目に見えず、測定しづらい”関係性”を経済用語である”資本”と組み合わせることで、新たな議論を引き起こすことが期待できます。

これは単なる言葉遊びではなく、社会関係資本という概念の導入により、途上国の開発援助の指標に使用されるようになり。また、貧困世帯への支援を行う際、金銭的な困窮支援だけでなく、様々な人との繋がりを支援する必要性にも言及され複合的な支援が行われるようになりました。

すなわち、新たな概念はこれまで気づいていなかった”価値”を発見することになり、人々に新しい価値観を提供することが可能になります。

”地域資本”という考えは、地域であたりまえに存在していた”人” ”歴史” ”景色”を新たな価値として再認識するために導入しました。特にこれらを”人財” ”史財” ”景財”とし、「地域住民の共有資本」として定義することで、経済優勢の価値観に対抗することができます。

特に、歴史や景観といったものは、一度失われると二度と戻すことのできない”不可逆的”な性質があります。しかしこれらは、地域に当たり前に存在するものでもあるため、地域に埋没しているものから新たな価値の再発見や外部の視点で新たな価値を掘り起こす必要があり、”Development(開発)”することが重要だと考えています。

また、「地域資本」という概念について、面白法人カヤックという企業の代表の柳澤さんは、「地域資本主義」や「鎌倉資本主義」という言葉で次のように語っています。

ーーーーーーー「資本を増やすという会社の得意な面を生かしながら、
売上や利益などの『経済資本』に加え、
人とのつながりやコミュニティなどの『社会資本』、
自然や歴史などの『環境資本』という地域資本を伸ばしていくことが、
カヤックが考える新しい資本主義のあり方であり、
今後企業が果たしていく社会的責任なんじゃないかと」ーーーーーーーーーー

https://colocal.jp/topics/think-japan/kamakura/20180622_114639.html

面白法人カヤックHP

https://www.kayac.com/vision/kamakura

「地域資本」という概念に学術的に共通する定義があるわけではありません。しかし、地域資本という言葉で様々な議論を巻き起こし、これまで繋がっていなかった人々が繋がっていくことが、現在必要な初期段階だと考えています。

地域資本開発研究所では、上記のような課題意識により「地域住民の共有財産」である地域資本を開発、発展させながら気持ちや心が豊かになる生活を志向していきます。

社会関係資本に関する参考文献:佐藤寛「援助と社会関係資本」2002年,アジア経済研究所

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